鈴木大地

医学博士となった金メダリスト
鈴木大地さん(40)


 2月上旬に順天堂大学で医学博士の学位を手にした。


 水中運動をしている人、それ以外の運動をする人、さらに運動をしない人に分け、医師の協力を得て約250人を健康診断。相対的に血圧が低いなど、水中運動の健康への影響を3年かけて論文にまとめた。大学生だった88年、ソウル五輪の競泳男子100メートル背泳ぎを制した若者も、10日で40歳。「いつまでも金メダリストの称号に頼らず、社会人として勝負したかった」


 寝たきりのお年寄りを元気にさせたい。「浮力があって体への負担が少ない水中で運動すれば、自然治癒力が高まるかもしれない。今回の研究はその基礎の基礎」。コーチ学などを教える母校順大の助教授としても、水泳部監督としても、水泳のよさを広められたらと考える。


 大学に進学する時、4人によるリレーも組めないほど部員が少なかった順大を選んだ。約30メートル潜り続けるバサロスタートをいち早く取り入れ、世界を制した。バルセロナ五輪出場も期待されながら、大学院での研究に転じた。後進の指導だけでなく、金メダルを持つ博士に転じた。病気にならない体をつくる予防医学という分野の発展を目指す。


 「スポーツは健康な人が1秒を争うだけのものではない。万人のためのものであってほしい。そうなれば、もっと健康になれる」


 文  由利英明
 写真 郭 允

  • 今私が目指していること(=自己治癒力増強の実践)そのものじゃないか!!と非常に嬉しくなる。
  • 別に水泳だけがいい運動なのではないと思う。しかし、私はもともと個人的に好きなので、トクだ。